独占禁止法の解釈・施行・歴史

独占禁止法の理論と実務を結ぶ論文集。公正取引委員会で30年余、独禁法の運用実務に携わった著者が大学に転じて5年間に執筆した11編と新たに書き下ろした２編の論文を収録する。

第１章　基礎概念の解釈と立証
　第１節　適用除外カルテル制度の廃止にみる独占禁止法の変容──「公共の利益」の解釈と協同組合の適用除外
　第２節　「公共の利益」の解釈と利益衡量 　
　第３節　不公正な取引方法の公正競争阻害性の判断における関連要因の総合的考慮について
　第４節　不当な取引制限における「共同遂行」・「遂行行為」独立要件論への疑問
第２章　企業結合規制の動向と課題
　第１節　市場集中規制の仕組みをめぐる諸問題──事後規制の問題点とその改善策
　第２節　複占体制の形成の問題点
　第３節　わが国における企業結合規制の進展と課題
第３章　法施行をめぐる諸問題
　第１節　公的施行の役割と課題
　第２節　手続規定に関する見直しについての問題点──適正手続の保障の後退
　第３節　公正取引委員会は法施行機関となりうるか──ファースト教授の批判を手がかりとして
　第４節　最近の優越的地位の濫用規制にみる法の手続化
第４章　歴史にみるわが国競争法
　第１節　大審院判例にみるカルテル・入札談合・ボイコット──独占禁止法以前の競争する自由
　第２節　昭和５２年法改正の意義──社会的公正原理と競争原理の交錯