eディスカバリー物語


eディスカバリー物語
グローバル・コンプライアンスの実務

佐々木 毅尚・AsiaWise法律事務所・株式会社FRONTEO・FRONTEO USA, Inc. 編著


A5判並製/320頁
ISBN:978-4-7857-2939-4

定価:3,740円 (本体3,400円+税)

発売日: 2022年03月

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詳細

「カルテル捜査...?」

ある日突然サピーナが来て、社内が騒然となり、米国弁護士と打合せを行い司法省とコンタクトをとって、ベンダーを選定する……。また、インド現法の不正案件に関する内部通報に応じ、現地弁護士とタッグを組んで証拠を集めインタビューを実施し、事実を調査する……。グローバル・コンプライアンスや米国訴訟の実際、E-ディスカバリーのノウハウが、魅力的なキャラクターの動きに合わせて活き活きと描かれる、実務のエッセンスが満載の書籍。

【本書の趣旨】  日系企業の法務担当者にとって、カルテル調査、米国訴訟は、日常的に発生しない案件であり、デジタルフォレンジック技術を活用する内部通報調査は、大型調査案件であるため数は少ない。したがって、法務担当者としてのキャリアで、この3つのすべてを経験するチャンスは、ほぼないといってよいであろう。ただし、これらの案件は、いつ発生するか事前に予測することは難しく、案件が発生した場合は、手続を学びながら案件を処理する必要性に迫られることは間違いない。圧倒的に時間がない中で、手続を学びながら的確に案件を処理していくためには、全体のプロセスを素早く把握し、現在、どのプロセスを処理しているのか理解しながら対応を進めることが求められる。  現在、それぞれの手続を解説する専門書は出版されているが、案件処理のプロセスすべてを俯瞰して、やさしく学べる書籍は少ない。本書は、eディスカバリー手続を活用して、それぞれの案件を処理していくプロセスを物語として紹介しており、これからカルテル調査、米国訴訟、内部通報調査について学んでいく最初のステップで、全体のプロセスを理解するために活用することをお勧めする。  また、事件処理は、社内各部門の利害が複雑に絡み合い、法務部門の調整力が試される分野で、法務部門の実力差が顕著に出る分野であるといえる。企業法務に携わる方々、海外ビジネスに関わる方々、弁護士の方々、企業法務の実務を志す学生の方々にとっても、企業法務の醍醐味を知る良い機会として本書を活用いただきたい。

主要目次

●PART1 

Subpoenaから始まるカルテル調査物語 「司法省から当社に変なレターが届きました。内容を見てくれませんか?」 米国子会社営業部長の青山から、本社法務課長の中野宛にEメールが送られてきた。中野が中身を確認すると、それはSubpoenaであった。弁護士の選任、文書保全通知、eディスカバリーベンダーの選定、カストディアンの設定、インタビューの実施……。これまでに経験したことのない、違和感満載の手続を何とか進めていく新日本エレクトロニクス社の法務部スタッフ。リニエンシーを行うか、それとも徹底抗戦を選ぶか? Wilson弁護士と伊藤弁護士のアドバイスを受けながら、はじめてのカルテル調査を手探りで進めていく。膨らんでいく費用を横目で見ながら、法務部長の田端は大きな決断を行う。

01.はじまり 02.セミナーへの参加 03.Subpoenaの受領 04.伊藤弁護士への相談 05.米国弁護士との打合せ 06.文書保全通知 07.米国司法省とのコンタクト 08.ベンダーの選定 09.第1回インタビュー 10.ベンダーとの会合 11.カストディアン設定とデータ保全 12.キーワード・プロトコル設定 13.第2回インタビュー 14.情報開示 15.ドキュメントレビュー 16.第3回インタビュー 17.戦 略 18.プロダクション・プレゼンテーション 19.PCの保存 20.エピローグ

●PART2 

一本の電話から始まる不正調査物語 鳴り響く一本の電話──「あいつらはキックバックを受け取っている」。インド現地法人従業員Nitinからの突然の連絡の内容は、インド現地法人の調達部門マネージャーのSameerが、ケーブルの調達先であるタージマハル社と結託し、キックバックを受け取っているという内容であった。海外現地法人における不正という初めての経験に戸惑う新日本エレクトロニクス社法務部コンプライアンス課のスタッフ達。課長の両国を筆頭に、嵐山弁護士たちと相談しつつ、現地法人内部の資料取集、対象者のバックグラウンド調査、メールデータのフォレンジック、対象者への現地インタビューといった様々な調査をこなし、不正の証拠を集め、全貌を解き明かしていく。

01.はじまりは電話 02.両国コンプライアンス課長 03.嵐は突然に 04.宝塚によるNitinの事情聴取 05.弁護士への相談 06.追加情報の依頼 07.弁護士との第2回打ち合わせ 08.現地弁護士との連携 09.フォレンジック調査の実施 10.データの抽出 11.フォレンジック調査の条件設定 12.データレビューの開始 13.現地調査業者による調査 14.Nitinからのヒアリング 15.現地での調査体制 16.調査業者からの報告 17.中間報告 18.緊急トラブル 19.吹田とのインタビュー 20.Kumarとの第1回インタビュー 21.インド出張 22.Sameerとのインタビュー 23.Kumarとの第2回のインタビュー 24.内部打ち合わせ 25.吹田からの情報提供 26.Vivekとのインタビュー 27.PCと携帯のフォレンジック調査 28.第2回インド出張 29.Sameerとの第2回インタビュー 30.今後の方針協議 31.梅田への方針報告 32.経営会議の準備 33.経営会議 34.エピローグ

●PART3 

一通のEメールから始まる米国訴訟物語 本社法務課長の中野は、米国子会社の営業部長の青山に、カルテル調査が終了したことをEメールで伝えた。このEメールに対して、青山から別件で相談したい案件があるという返信があった。どうも、フロリダ州の大型ショッピングセンターに設置された自動ドアセンサーでトラブルが発生したようだ。米国子会社であるUSA新日本エレクトロニクス社は、本社法務部の支援を受けて、直接顧客との交渉、エンドユーザーとの交渉を重ねていく。エンドユーザーであるUSコンストラクション社からの交信が途絶え、新日本エレクトロニクス社内では損害賠償請求をあきらめたという声が出始めたが、法務部長の田端はいやな予感を感じていた。やがてUSA新日本エレクトロニクス社に訴状が届き、本格的な訴訟手続が始まる。

01.終わりは始まり 02.米国子会社との打ち合わせ 03.顧客との交渉 04.建設会社との交渉 05.束の間の平穏 06.訴状の送達 07.訴訟手続 08.和 解 ●COLUMN ・ディスカバリーとは ・ディスカバリーによるメリット ・eディスカバリーの工程 ・eディスカバリー費用の内訳 ・テクノロジー活用の工程 ・Recall/Precision/Elusion レート ・デジタル・フォレンジック調査 ・eディスカバリープロバイダーの選定ポイント ・アジア言語を含むeディスカバリーの課題 ・国際訴訟・調査におけるレビューのコスト課題と最適なワークフロー ・eディスカバリーにおける情報保護の課題

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