デジタル化社会の進展と法のデザイン

サイバー空間とフィジカル空間が融合した社会システムに法学は貢献できるか

国家を超えて展開するデジタル・ビジネスに関連した法制度をEU法・中国法・アメリカ法・日本法の観点から俯瞰する。デジタル化によって変貌しつつある社会システムに適合的で、かつ、社会の構成員にとって自由で公正なシステムの基盤となる法を学際的に探究する。

千葉 惠美子　名古屋大学名誉教授、大阪大学招へい教授

本書を刊行するに当たって（千葉 惠美子）

第１部　デジタルプラットフォームビジネスと法規制の動向

第１章　デジタル戦略をめぐる EU の法規制の動向
 1 デジタル戦略をめぐるEUと日本の法政策の比較（千葉 惠美子）
 2  データ・プラットフォーム規制の国際的調和と我が国の法政策の展望（寺田 麻佑）
 3  EUにおけるデジタル・プラットフォーム規制の発展 （町村 泰貴）
 4  デジタルプラットフォーマーの法定地位をめぐるドイツの法状況（川地 宏行）
 5  フランス法におけるデジタル・プラットフォームをめぐる「挑戦」（大澤 彩）　　
 6  デジタルサービス法（DSA）とオンラインプラットフォームに関するELIのモデル準則──その連続性と非連続性（三枝 健治）
 7  欧州の巨大プラットフォーム事業者規制について ──デジタル市場法（DMA）を中心に （林 秀弥）（巫 昆霖）

第２章　中国におけるデジタルプラットフォームビジネス規制の動向
 8  中国デジタル化の発展プロセスとルール化の課題──プラットフォーマー規制の背景構造を読み解く（岡野 寿彦）
 9  中国独占禁止法によるデジタルプラットフォーム 事業者の規制（川島 富士雄）

第３章　米国における デジタルプラットフォームビジネス規制の動向
 10  米国反トラスト法によるデジタルプラットフォーム（GAFAM）規制──司法の動向を中心に（井畑 陽平）
 11  デジタル・プラットフォーム事業者による自己優遇行為と反トラスト法（ 林 秀弥 ）
 12  プラットフォーム事業者によるアーキテクチャのデザインとモデレーションに伴う民事責任（成原 慧）

第４章　わが国におけるデジタルプラットフォームビジネス規制の動向
 13 デジタル・プラットフォーマー（DPF）による 人工知能（AI）知財戦略（重冨 貴光）
 14 デジタル改革関連法成立後のプラットフォームビジネスとパーソナルデータ（板倉 陽一郎）
 15 知的財産法とデータとの関係をめぐる一考察（青木 大也）
 16 プラットフォーム型就労者の安全・健康とプラットフォーマーの責任（水島 郁子）
 17 デジタルプラットフォームビジネスと税務情報収集・徴収の課題  （髙橋 祐介）
 18 「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の 利益の保護に関する法律」の意義と課題（千葉 惠美子）

第２部　デジタルビジネスに関する新たな立法政策の構築をめざして

第１章　デジタルビジネスの展開と法学からみた課題
 19 デジタルビジネスに関する学際的研究の必要（千葉 惠美子）
 20 著作物の利用に関するプラットフォーマーの役割と責任（鈴木 將文）
 21 プラットフォームビジネスと刑法学（品田 智史）
 22 デジタル・プラットフォームビジネスの展開と民事実体法からのアプローチ（千葉 惠美子）

第２章　デジタルビジネスに関する基礎的考察 ──アーキテクチャ・データ・ガバナンス
 23 総　論──共同研究の目的および検討の対象と視点（千葉 惠美子）
 24 プラットフォームによる「市場の組織化」と経済法 （和久井 理子）
 25 デジタル・プラットフォームビジネスにおける プラットフォーム事業者の役割と責任（千葉 惠美子）
 26 情報・データの保護と利用に関する法的規律のあり方 ──知的財産法の視点から（鈴木 將文）
 27 データの帰属について──データ取引をめぐる諸規律と帰属保護の現状を踏まえた若干の考察（髙 秀成）
 28 デジタルプラットフォーム上の顔写真を利用することの倫理的・法的・社会的課題（ELSI）（岸本 充生）
 29 NFT の私法上の性質と NFT 取引の法律関係（大塚 智見）
 30 デジタル・プラットフォームにおけるガバナンスとルールメイキング ──あるいは、表現の自由の私法的基礎（津野田 一馬）
 31 デジタル社会における ODR の意義 ──取引デジタル・プラットフォームを中心に（山田 文）
 32 会社法の強行法規性2.0  ──DAO を「法の支配」下に置くために（得津 晶）
 33 デジタル化社会におけるガバナンスと刑法（品田 智史 ）
 34 米国合併ガイドラインの2023年改定案とデジタル・プラットフォーム規制（林 秀弥）

第３章　金融サービスのデジタル化とルール形成の戦略的活用
 35 デジタル化社会における金融サービスの新たな展開と課題  ──本章の目的（千葉 惠美子）
 36 金融サービスのデジタル化におけるルール形成の課題（落合 孝文 ）
 37 キャッシュレス決済における競争阻害要因（林 秀弥）（松島 法明 ）
 38 ブロックチェーンに関する抵触法的考察（横溝 大）
 39  銀行と電子決済等代行業者の API 連携に関する私法上の問題（白石 大）
 40 融資仲介プラットフォームとリスク・リテンション規制── Ant Group に対する中国金融監督当局の対応を素材として（松尾 健一 ）
 41 金融サービス仲介業と金融の横断的・包括的規制 ──「所属制の不採用」をめぐって（津野田 一馬）
 42 デジタル化による金融環境の変化と金融システム改革の課題 （千葉 惠美子）

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