《契約の終了》を開拓する

契約の「終了」をめぐる諸問題を理論と実務例の両面から深く掘り下げる

契約の「終了」の実務は難易度が高い一方、それを理論・実務例の両面から深く論じるものは少ない。契約の終了をめぐる考え方、当事者間の残存義務などの総論に加え、複数契約、提携、委任、継続的保証、賃貸借、使用貸借、プラットフォーム利用契約など多様な契約類型の終了をめぐる到達点を示す。

椿 寿夫    民法学者・京都大学法学博士

序説　《契約の終了》をめぐって（椿 寿夫）
01　「契約の終了」と「契約の尊重(favor contractus)」思想（長坂 純）
02　契約の終了における消費者契約と事業者間契約（執行 秀幸）
03　継続的事業者間契約における約定解除・解約と契約の終了（椿 久美子）
04　当事者の死亡と契約の終了（前田 泰）
05　契約の終了と原状回復――無効、取消し、解除の効果としての原状回復を中心に（萩原 基裕）
06　複数契約の終了――フランス民法典における「失効（caducité）」の議論を中心に（深川 裕佳）
07　契約の終了と返還義務の範囲――不当勧誘を受けた消費者の価額償還義務を中心に（川地 宏行）
08　契約終了後の競業避止義務・秘密保持義務（織田 博子）
09　継続的契約の解消と損害賠償（難波 譲治）
10　基本契約・個別契約の終了（吉井 啓子）
11　継続的保証における契約の終了（上河内 千香子）
12　更改契約の債務不履行解除（滝沢 昌彦）
13　書面でする消費貸借における貸主からの解除（谷口 聡）
14　使用貸借契約の諾成化と借用物受取前の貸主の解除権（有賀 恵美子）
15　賃貸借契約終了後の有益費償還請求権と建物買取請求権（蓮田 哲也）
16　「賃借物の全部滅失等による賃貸借契約の当然終了」（民616条の2）の法理の再検討
　――「一部滅失等による賃料の減額等」（民611条）との比較を契機とする「法律行為の終了」に関する一考察（西島 良尚）
17　委任契約の終了と任意解除権（長谷川 貞之）
18　組合・組合契約と終了（中山 知己）
19　入院契約の終了（岡林 伸幸）
20　「移行型」任意後見契約の終了（平山 也寸志）
21　提携契約の段階的撤退――契約型提携の段階的撤退を中心に（三林 宏）
22　デジタルプラットフォームにおけるプラットフォーム提供者・利用事業者間の契約の終了（芦野 訓和）
23　デリバティブ契約のクローズアウト・ネッティングによる期限前終了（柴崎 暁）
24　むすび――まとめに代えて（椿 寿夫）
椿先生に捧げる文（伊藤 進）