多様なリスクへの法的対応と民事責任


多様なリスクへの法的対応と民事責任

大塚 直・米村 滋人 編著


A5判並製/560頁
ISBN:978-4-7857-3121-2

定価:7,700円 (本体7,000円+税)

発売日: 2024年10月

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現代社会の多様なリスクへの法的対応と民事責任立法の提案

公害、自動車や鉄道等の大規模事故、原発、食品、医薬品・予防接種・医療事故、AIによる自動運転システム、自然災害など、現代社会における多様なリスク・不確実性と不法行為法の関係を法的に追究する。

大塚 直  早稲田大学法学学術院教授
米村 滋人 東京大学大学院法学政治学研究科教授

主要目次

はしがき

第1章 総論
 1 問題提起
   ──さまざまなリスク、リスク論と不法行為法・・・大塚  直
  Ⅰ リスク論の展開
  Ⅱ 本企画で対象とするリスク(科学技術の発展に伴って増大する
    リスク)と不法行為法
  Ⅲ わが国におけるリスクと不法行為法の関係の変遷
  Ⅳ 本企画における横断的視点
 2 科学技術のリスクに対する不法行為法の対応
   ──20世紀末までの整理・・・瀬川 信久
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 事案類型ごとの検討
  Ⅲ 小 括
 3 科学・技術に関するリスク対応とその公法的制御・・・下山 憲治
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ リスクとリスク対応
  Ⅲ 危険防止・リスク制御の法的制御
  Ⅳ 危険防止・リスク制御と国の責任
  Ⅴ おわりに
 4 基本権保護義務とリスク・残存リスク・・・桑原 勇進
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 基本権保護義務
  Ⅲ 基本権保護義務の射程
  Ⅳ 残存リスク―リスク受容の論理―原子力における残存リスクを中心に
  Ⅴ 基本権保護義務に関する司法審査──特に過少禁止的比例原則
  Ⅵ 全体のまとめ
 5 リスク責任と経済分析・・・西内 康人
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 過失責任・厳格責任の基礎知識
  Ⅲ 厳格責任の諸相
  Ⅳ 環境責任の諸相
  Ⅴ 新たなリスクの一例と分析
    ── Society 5.0とリスク、ここへの民事法的対処
  Ⅵ おわりに

第2章 環境・有害物質のリスク
 6 公害・環境・原発リスクと不法行為法(拡張版)・・・大塚  直
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 過失の判断と危険責任(無過失責任)
    ──科学的不確実性及び比例原則的衡量に関連した過失の判断枠組みの再構成
  Ⅲ リスク侵害・不安損害と賠償・差止め
  Ⅳ 結びに代えて
 7 アスベストによる健康被害の救済・・・渡邉 知行
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 判例の動向
  Ⅲ 建材メーカーの費用負担による補償給付
  Ⅳ 今後の課題
 8 メキシコ湾油濁事故の賠償責任と紛争処理・・・大坂 恵里
  Ⅰ 本稿の目的
  Ⅱ メキシコ湾油濁事故の概要
  Ⅲ メキシコ湾油濁事故の賠償責任と紛争処理
  Ⅳ 日本への示唆
 9 ESG 投資と会社の目的論──アメリカにおける議論・・・黒沼 悦郎
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ アメリカにおける議論の状況
  Ⅲ むすびに代えて

第3章 医療・医薬品リスク
 10 医療・医薬品のリスクと不法行為法
   ──医療AI を含むリスクに対する責任判断の検討・・・米村 滋人
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 医療・医薬品リスクに関する責任判断
  Ⅲ 感染症のリスクと不確実性
  Ⅳ 総括的検討
  Ⅴ 補論: 医療AI に関する責任
  Ⅵ 結びに代えて

第4章 AI・自動運転等のリスク
 11 AI のリスクと無過失責任・・・橋本 佳幸
  Ⅰ 問題の所在
  Ⅱ AI の投入に伴う加害の構造と無過失責任規律
  Ⅲ AI の出力によって機械が自動運転される場面
  Ⅳ AI の出力が人の行為に利用される場面
  Ⅴ 結 語
 12 自動運転における事故の補償および調査のあり方
   ──交通と医療における現行制度の比較に基づく覚書・・・山口 斉昭
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 交通(自動車)事故における補償・紛争解決制度
  Ⅲ 医療事故における補償と調査に関する議論と制度について
  Ⅳ 検討: 現行制度の考え方について
  Ⅴ 考察: 完全自動運転導入の際の補償・調査のあり方について
  Ⅵ おわりに
 13 「AI と民事責任」をめぐるヨーロッパの動向
   ──「AI によるリスク」の定位・・・中原 太郎
 はじめに
  Ⅰ 「AI と民事責任」に関する議論の本格化
  Ⅱ 「AI と民事責任」に関する理論的動向
  Ⅲ 補足と考察──「AI によるリスク」の内容と帰結
 おわりに
 14 AI に関する民事責任をめぐるドイツの議論の概要・・・長野 史寛
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 問題の所在
  Ⅲ 現行法とその欠缺
  Ⅳ 立法論
  Ⅴ おわりに
 15 技術革新・情報科学技術の進展に伴って生じる新たな・
   製造物リスクと欧州製造物責任指令案の応接 ──ドイツ法の視点からの検討・・・前田 太朗
  Ⅰ はじめに──本稿の問題意識と分析視角
  Ⅱ 製造物概念の拡張と責任主体の拡張
  Ⅲ 欠陥概念の可動化──基準時の時間的拡張による機械学習およびサイバーセキュリティへの
    対応および開発危険の抗弁との関係
  Ⅳ 証拠開示・立証推定規定
  Ⅴ おわりに──残された検討課題
 16 電動キックボードと危険責任の正当化
   ──多様なモビリティの民事責任のあり方を検討する素材として・・・前田 太朗
  Ⅰ 問題意識──日本法の状況
  Ⅱ ドイツ法の状況
  Ⅲ 日本法への示唆

第5章 デジタル社会のリスク
 17 情報通信サービスにおけるリスクへの対応・・・後藤 巻則
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ 情報通信サービスにおける私的利益の保護
  Ⅲ 情報通信サービスにおける公共的利益の保護
  Ⅳ 小 括
 18 Society5.0のデジタル・リスクとデジタル災害による・被害者救済・・・肥塚 肇雄
  Ⅰ はじめに
  Ⅱ Society5.0における「デジタル災害」の特徴
  Ⅲ 被害者救済
  Ⅳ 「デジタル災害保険」による被害者救済の法的課題
  Ⅴ 結びにかえて

終 章
 19 総  括
   ──科学技術の発展に伴う多様なリスクと不法行為法(拡張版)・・・大塚  直
  Ⅰ 過失責任・危険責任の判断枠組みの再構成──科学技術の発
    展に伴うリスクへの対応に関する考え方の整理(現行法の下での解釈論)
  Ⅱ 過失責任と危険責任(ないし厳格責任)
    ──近時のAI に関 する不法行為責任の議論を素材とした立法論
  Ⅲ 不法行為法の機能、補償・基金との関係
  Ⅳ 結びに代えて

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