2014年刊行の書籍

『タクティクスアドバンス 行政法 2015』(2014年11月刊)

488頁~・問題235

エの解説文に以下の文章を追加させていただきます。

 

エ.誤り。行政活動に関する「職務行為基準説」は,当該職務上の行為(処分など)が客観的に違法なもの(取消訴訟であれば,違法として取り消されるようなもの)であったとしても,それだけでただちに国家賠償法1条の適用上違法の評価を受けるものではなく,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為を行ったと認められるような事情があったときに限り,違法の評価を受けるというものである。このような見解に立つ判例は,所得税の更正処分に関する最高裁判決(最判平5・3・11民集47・4・2863)以降,現在まで続いているが(最判平11・1・21判時1675・48,最判平19・11・1民集61・8・2733,最判平20・2・19民集62・2・445など),このような考え方においては,「職務上尽くすべき注意義務」を尽くしたかどうかを違法性要件において問う点で,本来,過失要件で問われるべき要素を違法性要件の中で評価の対象としているとみることができる(その意味で,違法性要件と過失要件の区別があいまいなものになるともいえる)。しかし,最高裁判例の中には,違法性要件と過失要件を区別して論じる判決もあり,この選択肢で挙げたような法律解釈の誤りに関する諸事例がそれにあたる。すなわち,判例は「ある事項に関する法律解釈につき…」

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